歯磨き後は口ゆすがない方がいい?

歯磨き後は口ゆすがない方がいい? メイク

「歯磨きのあと、何回も口をゆすいでいませんか?」実はその習慣、むし歯予防の効果を半減させているかもしれません。

歯磨き後に口をゆすがない、または少量の水で1回だけゆすぐことで、フッ素の効果が最大限に発揮され、むし歯予防効果が40%以上も高まることが科学的に証明されています。

スウェーデンで開発された画期的な歯磨き法や、効果的なフッ素の活用方法、そして研磨剤を使わない薬用ブレスクラブのような新しいタイプの歯磨き粉の選び方まで、あなたの歯磨き習慣を根本から変える情報をお伝えします。

この記事を読めば、今日から実践できる正しいゆすぎ方と、一生涯むし歯に悩まない健康な歯を手に入れる方法がわかります。

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歯磨き後に口ゆすがないメリットと効果

フッ素の効果を最大化できる

毎日の歯磨きで使っている歯磨き粉には、むし歯を予防するフッ素が含まれています。歯磨きのあとに口をゆすぐ回数を減らすことで、フッ素が口の中に長く留まり、むし歯予防効果がぐんと高まるのです。フッ素は歯の表面を酸に溶けにくい性質に変えて、むし歯への抵抗力を高めてくれる成分なんですね。

歯科研究によれば、フッ素配合の歯磨き粉を使うと歯の根元のむし歯を67%も抑制できるという結果があります。さらに、コクラン・レビューという信頼性の高い研究分析では、1000~1250ppmのフッ素配合歯磨き粉が無配合のものよりも効果的であることが確実なエビデンスとして示されています。こうした科学的な裏付けがあるからこそ、世界保健機関(WHO)もフッ素配合歯磨き粉の使用をすべての人に推奨しているわけです。

歯磨きをして口の中の泡を吐き出したあと、何度も水でゆすいでしまうと、せっかくのフッ素まで洗い流してしまいます。フッ素は歯磨きをしたあとも歯や粘膜に残り、少しずつ唾液と混ざり合って口の中で効果を発揮し続けるんです。ですから、歯磨き後のゆすぎは少なめにして、フッ素を口の中に留めておくことが大切になります。

むし歯予防効果を高めるエビデンス

歯磨き後に口をあまりゆすがないことの効果は、多くの研究で実証されています。フッ素配合歯磨き粉によるむし歯予防効果は、臨床試験で約20~30%の抑制率を示しており、これは口の中の全ての歯のうち9本もむし歯にならずに済むことを意味します。

フッ素がむし歯を防ぐ仕組みは、主に3つの作用によるものです。まず、酸により歯から溶け出したカルシウムやリンを補うこと(再石灰化)を促進します。次に、歯の表面を覆うエナメル質を酸に溶けにくい性質に変えて、むし歯への抵抗力を高めるんです。そして、むし歯菌の活動を抑制する効果もあります。

歯科医院で行われるフッ素塗布の研究では、通常の歯磨き方法と比べてむし歯の予防効果が40%以上高いことがわかっています。特に歯と歯の間のむし歯が26%も予防できたという報告があり、これは歯磨き後のゆすぎを減らすことでフッ素が隅々まで行き渡るためだと考えられています。日本でも先進的な歯科医院では10年以上前から、歯磨き後のゆすぎを控えめにする方法を推奨してきました。

歯磨き後に口ゆすがない正しいすすぎ方のポイント

少量の水で1回だけ軽くゆすぐ

歯磨きのあとのゆすぎ方には、フッ素を効果的に残すためのコツがあります。歯磨き後は5~15mlの少ない水で5秒間程度ブクブクと1回だけすすぐのが理想的で、これはペットボトルのキャップ1杯分程度の量になります。

具体的なやり方としては、まず歯磨き粉の泡をしっかり吐き出します。その後、ごく少量の水を口に含んで、軽くブクブクと動かしてから吐き出すだけです。これだけで十分なんですね。歯磨き後は1~2時間は飲食を控えるとさらに効果的で、特に就寝前の歯磨きでこの方法を実践すると、寝ている間ずっとフッ素が働いてくれます。

多くの歯科医院では、このような少量の水でのゆすぎを推奨しています。最初は口の中に歯磨き粉の味が残る感じがして違和感があるかもしれませんが、フッ素の効果を考えると、この方法に慣れることで長期的なむし歯予防につながります。朝起きたときの口の中のネバつきも改善されたという声も多く聞かれるようになりました。

気持ち悪さや研磨剤残留への対処

歯磨き後に口をあまりゆすがないと、最初は気持ち悪く感じる方も多いでしょう。日本の市販の歯磨き粉は清涼感を出すために刺激の成分が強く、発泡作用も強いものが多いため、ゆすがずにはいられない方が多いのが現状です。

こうした違和感への対処法として、まず歯磨き粉を選び直すことを考えてみましょう。刺激の少ないマイルドな味のものや、発泡剤を控えめにしたものを選ぶと、口をゆすぐ回数を減らしやすくなります。また、研磨剤不使用の歯磨き粉なら、口の中に残っても歯や歯茎を傷つける心配がありません。

段階的に慣れていく方法もおすすめです。最初は今までの半分の水の量でゆすぐことから始めて、徐々に水の量を減らしていくんです。また、どうしても気になる場合は、フッ素配合の洗口液でゆすぐという方法もあります。これなら、いくらゆすいでもフッ素がなくなることはありませんから、安心して口の中をさっぱりさせることができるでしょう。

歯磨きで口ゆすがないスウェーデン式歯磨き(イエテボリ・テクニック)

方法と手順(歯磨き粉の量・すすがない・飲食制限)

予防歯科の先進国スウェーデンで開発された「イエテボリ・テクニック」は、歯磨き後に口をゆすがない画期的な方法です。1995年にスウェーデンのイエテボリ大学で発表されたこの歯磨き法は、通常の歯磨き方法と比べてむし歯の予防効果が40%以上高いことが実証されています。

イエテボリ・テクニックの具体的な手順を見ていきましょう。まず、フッ素配合の歯磨き粉を2cm程度(大人の場合)歯ブラシにつけます。次に、歯全体に歯磨き粉が行き渡るように意識して2分程度歯磨きを行います。ここまでは普通の歯磨きと同じですね。

大切なのはここからです。口の中の泡を吐き出したあと、口をゆすがないんです。どうしてもゆすぎたい場合は、泡を吐き出さずに10ml程度の少量の水を口に含んで、30秒間ブクブクとしてから吐き出します。そして歯磨きのあと、最低でも30分、できれば2時間は飲食を控えるようにします。これによってフッ素が長時間口の中に留まり、むし歯予防効果を最大限に発揮できるわけです。

歯磨き後に口ゆすがない場合の注意点とリスク

年齢別のフッ素使用量と濃度

歯磨き後に口をゆすがない方法は効果的ですが、年齢によって注意すべきポイントが異なります。イエテボリ・テクニックは12歳以上が対象とされており、体の小さい子どもの場合は大人に比べてフッ素の過剰摂取のリスクが高いため、別の方法を選ぶ必要があります。

6歳未満の子どもには、低濃度フッ素配合の歯磨き粉(500ppm程度)を使い、使用量も米粒大から豆粒大程度に抑えることが推奨されています。また、歯磨き後は軽くゆすぐようにして、歯磨き粉を飲み込まないよう保護者が見守ることが大切です。

6歳から12歳までの子どもは、1000ppm程度のフッ素配合歯磨き粉を使用できますが、使用量は0.5g程度にとどめ、歯磨き後は少量の水で1回ゆすぐ程度にします。12歳以上になれば、1450ppmの高濃度フッ素配合歯磨き粉を使って、イエテボリ・テクニックを実践できるようになります。大人でも、歯磨き粉レベルであれば健康面で危険に陥る可能性は極めて低いことが研究で明らかになっています。

歯磨きで口ゆすがない実践のヒントとまとめ

日常生活に取り入れるポイント

歯磨き後に口をあまりゆすがない習慣を日常生活に取り入れるには、いくつかのコツがあります。特に就寝前の歯磨きでこの方法を実践すると、寝ている間は唾液の分泌が少なくなるため、フッ素が長時間口の中に留まって効果的にむし歯を予防してくれます。

まず、歯磨き粉選びから始めてみましょう。発泡剤や刺激の少ないものを選ぶと、口をゆすぐ回数を減らしやすくなります。天然由来の成分を使った歯磨き粉や、研磨剤不使用のジェルタイプのものなら、口の中に残っても不快感が少ないでしょう。たとえば、アロマ成分を配合した薬用歯磨き粉なら、自然な香りで口の中がさっぱりして、歯磨き後のゆすぎを減らしても気持ちよく過ごせます。

生活リズムに合わせた実践も重要です。朝は時間がなくて慌ただしいという方は、まず夜の歯磨きから始めてみてはいかがでしょうか。夜なら時間に余裕があることが多いですし、就寝前に歯磨きをして口をあまりゆすがずに寝れば、翌朝の口の中のさっぱり感の違いを実感できるはずです。慣れてきたら、朝や昼の歯磨きでも同じ方法を取り入れていけば、一日中フッ素の恩恵を受けることができるようになりますよ。

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歯磨き後に口ゆすがないメリットのまとめ

歯磨きのあとに口をゆすがない、もしくは少量の水で軽くゆすぐだけにすることで、むし歯予防の効果が大幅に高まることがわかりました。フッ素を口の中に長く留めることで、むし歯予防効果が40%以上も向上し、特に歯と歯の間のむし歯を効果的に防げるようになります。

スウェーデンで開発されたイエテボリ・テクニックは、2cmの歯磨き粉で2分間磨いたあと、口をゆすがずに30分から2時間は飲食を控える方法です。日本では12歳以上から実践でき、慣れるまでは少し違和感があるかもしれませんが、段階的に水の量を減らしていくことで無理なく習慣化できます。

研磨剤不使用の薬用ブレスクラブのような刺激の少ない歯磨き粉を選ぶことで、口をゆすがなくても不快感が少なく、アロマ成分による自然な清涼感でさっぱりと過ごせるでしょう。

項目 内容
推奨されるゆすぎ方 5~15mlの水で5秒間、1回だけ
むし歯予防効果の向上率 40%以上
イエテボリ・テクニック対象年齢 12歳以上
歯磨き後の飲食制限時間 30分~2時間
おすすめの実践タイミング 就寝前
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